一望の風

この浪漫こそ成り行き任せ

掌中の珠に何を魅せるのか

いま氷雨が顔を覗いている


それを言葉に描くにはまだなにか足りない気がしていた

ときのとまった楽園が、侵蝕を忘れているのを眺め

小さく頷いた野花たちがそこかしこにいたようだった


まぼろしだろう


賑やかなものだと感嘆にも口にしてみたのだが

ちっとも心に響きやしないもので

パノラマを見下し、視点は海を望んでいた

不幸にも鳥はその眼下に映り込み

閉じ込められ、命を留めているだけだった


一面の銀世界のようにまばゆく、いっぱいに広がった星は

くらいうみのそこで、夢幻の霊峰に綾錦を広げては纏わせてくる

雪月花の香りが花を劈き、饐えた春の色を美観とし

素晴らしく視界が抜ける、その落下地点に深山幽谷がある


灯すれば 

わたしは 

千里眼を持ち 

遙望(ヨウボウ)を 

圧(オサ)えた


めがしらはあつく とじられたまなこで

どれだけのゆめが かなうのか 

だれひとりこたえもないけれど いつか

たずねてみようと、さえ 想う